千の脚を持つ男
この本の表扉には、"自然のバランスが崩れて興じが起こるとき、その全長として現われるのがモンスターである"と書かれている。モンスターの定義は、まるでウルトラQのような、いやもともとはウルトラQの下敷きがこの手のモンスター小説だ、とあとがきにある訳者の解説されている。
この本は、そんなモンスター小説の古典的名作秀作ともいえる作品10編をあつめたオムニバス形式の内容に仕上がっている。文庫サイズで手に取りやすくオムニバス形式なので、枕元に積んで寝る前にちょこっとずつページをめくっていたので、読み終わるまでに二ヶ月もかかってしまった。
で、正直に言って、読み応えはどうかと訊かれると「う〜ん」という感じになってしまう。このモンスター小説の書かれた時代から半世紀たった、CGなどのテクノロジーによって洗練されたハリウッド映画だったり日本の成熟したマンガの数々で育ってきた僕の世代では、ガツンとした読み応えがあまり感じられなかった。むしろこのモンスター小説に出てくる一個一個のアイデアが今の小説や映画やマンガなどの原型だということがわかってアイデアの遍歴を振り返るようでおもしろかった。これは、まるであたら悪しいOSが発売されて、一世代前のOSをひさしぶりに起動してかつて使っていたアプリを動かしてみて「前のヴァージョンはこんな感じだったのか」と懐かしむ感じでした。
昨今の新訳ブームのさなかに、SFモンスター小説の古典作品を新訳で揃えておいて新しく関心を持った層に手にとって貰いやすいという意味ではグッジョブではないでしょうか。
この本は、そんなモンスター小説の古典的名作秀作ともいえる作品10編をあつめたオムニバス形式の内容に仕上がっている。文庫サイズで手に取りやすくオムニバス形式なので、枕元に積んで寝る前にちょこっとずつページをめくっていたので、読み終わるまでに二ヶ月もかかってしまった。
で、正直に言って、読み応えはどうかと訊かれると「う〜ん」という感じになってしまう。このモンスター小説の書かれた時代から半世紀たった、CGなどのテクノロジーによって洗練されたハリウッド映画だったり日本の成熟したマンガの数々で育ってきた僕の世代では、ガツンとした読み応えがあまり感じられなかった。むしろこのモンスター小説に出てくる一個一個のアイデアが今の小説や映画やマンガなどの原型だということがわかってアイデアの遍歴を振り返るようでおもしろかった。これは、まるであたら悪しいOSが発売されて、一世代前のOSをひさしぶりに起動してかつて使っていたアプリを動かしてみて「前のヴァージョンはこんな感じだったのか」と懐かしむ感じでした。
昨今の新訳ブームのさなかに、SFモンスター小説の古典作品を新訳で揃えておいて新しく関心を持った層に手にとって貰いやすいという意味ではグッジョブではないでしょうか。