族長の秋
とても印象的なコピーだなと思う「百年の孤独」というタイトルとともに、ガブリエル・ガルシア=マルケスという名前は見聞きしていたですが、彼の作品はどれもまだ読んだことがなかった。で、はじめて手にする彼の作品として選んだこの「族長の秋、他6篇」を、なんの予備知識なく最初のページから読んでみたわけです。
彼の作品はストーリーに浸るというよりも、そこから想起されるヴィジュアルを眺めているような、しかも内容が現実的なものと驚異的なものが入り交じる感じで、どこかの写真展をブラブラと鑑賞して立ち止まってしまうような読み応えがある。
で、この本に収められている「大きな翼のある、ひどく年取った男」「軌跡の行商人、善人のブラカマン」「幽霊船の最後の航海」「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」とある6つの短編と、「族長の秋」という長編ではかなり文章の構造が違う。彼は作品ごとに文体が違うというか、作品に合った文体を選んでいるみたい。
で、もっとも印象的だった作品は、やはりタイトルにもなっている「族長の秋」という長編。"それは牛で一杯の宮殿にたった一人取り残された非常に年取った、考えられないくらい年取った独裁者のイメージ"という設定からしてぶっ飛んでいて、だけどイメージがはっきり見えておもしろい。おおざっぱな章立てはあるものの、それらの導入がすべて大統領の死の描写から始まり、しかもクロノジカルな時間の進み方ではなくて螺旋的にあっちにこっちに回帰するので、読んでいる最中に一度中座してしまうと、まるで大統領府の中を彷徨って自分が一体どこにいるのかわからなくなるような読んでいて迷子になりかけるような、とても不思議な感じの物語でした。
というわけで、なんだかひさしぶりに読み終えるのに偉く時間がかかってしまった。ガブリエル・ガルシア=マルケスをはじめて手にする時には、この「族長の秋」より「百年の孤独」などの他の作品の方がいいのかもしれない。でも、たっぷり時間のある時にストーリーを追うのではなくストーリーの中をぼ〜としたい時には、それこそオススメする作品でしょうか。
彼の作品はストーリーに浸るというよりも、そこから想起されるヴィジュアルを眺めているような、しかも内容が現実的なものと驚異的なものが入り交じる感じで、どこかの写真展をブラブラと鑑賞して立ち止まってしまうような読み応えがある。
で、この本に収められている「大きな翼のある、ひどく年取った男」「軌跡の行商人、善人のブラカマン」「幽霊船の最後の航海」「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」とある6つの短編と、「族長の秋」という長編ではかなり文章の構造が違う。彼は作品ごとに文体が違うというか、作品に合った文体を選んでいるみたい。
で、もっとも印象的だった作品は、やはりタイトルにもなっている「族長の秋」という長編。"それは牛で一杯の宮殿にたった一人取り残された非常に年取った、考えられないくらい年取った独裁者のイメージ"という設定からしてぶっ飛んでいて、だけどイメージがはっきり見えておもしろい。おおざっぱな章立てはあるものの、それらの導入がすべて大統領の死の描写から始まり、しかもクロノジカルな時間の進み方ではなくて螺旋的にあっちにこっちに回帰するので、読んでいる最中に一度中座してしまうと、まるで大統領府の中を彷徨って自分が一体どこにいるのかわからなくなるような読んでいて迷子になりかけるような、とても不思議な感じの物語でした。
というわけで、なんだかひさしぶりに読み終えるのに偉く時間がかかってしまった。ガブリエル・ガルシア=マルケスをはじめて手にする時には、この「族長の秋」より「百年の孤独」などの他の作品の方がいいのかもしれない。でも、たっぷり時間のある時にストーリーを追うのではなくストーリーの中をぼ〜としたい時には、それこそオススメする作品でしょうか。